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あまりにも衝撃的すぎて、ビバリさんのいない会社でまともに仕事なんかできやしない。
(なんにも、思い出してくれない…)
記憶喪失なら仕方がない。医者も「記憶ならそのうち必ず戻ってくる」なんて言っていた。だが僕にとって“そのうち”が酷く不安で、本当は戻ってこないんじゃないかって思い始めている。
(僕達の愛ってこんなもんだったのかな)
あまつさえ憎き大島を“好きな方”なーんて言うようになってしまって。
私が好きなのはルイ、お前だけだ
あの時あんな風に思い出してくれるんじゃないかと期待に胸を膨らませたがどうやら僕の勘違いで終わってしまったようだ。
(もう、こんな辛い思いまでしてビバリさんと付き合う理由なんてあるのだろうか)
もうビバリさんは僕なんて眼中にないんじゃないか。いっそのこと、僕のことを気に入ってるレオンさんと付き合おうか。もういい、この際僕に愛情をくれる人なら誰だっていい。
もう僕を、一人に置いてかないでほしい。
社内に置いてある白と黒のマグカップを暫く見つめた後、黒のマグカップに手をかけ地面に叩きつけた。ビバリさんの愛用してた大切なマグカップ。「ルイとペアなんだ」あんなに嬉しそうに白のマグカップを差し出してくれたビバリさんはもういない。割れた黒のマグカップを穴があくほど見つめていると今までのことがプレイバックされてぽたぽたと流れ滴る涙。
割れた破片を素手で拾う。破片が手に刺さって血まで出てきてしまったがもうそんなのどうだっていい。
あなたの使ってたこのマグカップを食べれば僕はあのときのアナタを感じれるのでしょうか?
そう問いたって返ってくる返事は割れた破片同士がぶつかりあう小さな音だけ。
end.
―――――
ビバルイをよく見てる方にはわかると思いますが白と黒のペアマグカップ。確かキリマンジャロの回で使われてましたよね。
ここまで読んでくださりありがとうございます(^O^)次はらぶいちゃな二人を書きたい
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