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「今日はずいぶんと薄暗いですね…」 「そうだな、大島君」 オフィス街の中にある小さなこの会社の窓から見えたのは妖しく並ぶ雷雲ばかり。まだ午後の3時だというのに辺りはすっかり雲にのまれ、気づけば外は曇っていた。 「でも私達仕事人には関係ないですよね!…あ、お茶淹れてきます」 「ん…あぁ、頼んだよ」 大島が出ると静まるこの空間。ぎし、と椅子から立ち上がったのは課長兼ビバリさんで。 「…外を見てみろ」 俺がちらっと外を見るとそのまま椅子を壁に叩きつけられた状態でビバリさんが迫ってきた。 「外は暗いなぁ?ルイ」 「そうですね…」 「俺のハート、ルイに会ったあの日から雷のように激しく、恋に堕ちたのを思い出すよ…なあ、いいだろ?」 ビバリさんは俺の眼鏡を両手で優しく掴み床に投げ捨てる。この行為はキスの合図だ。俺は椅子から立ち上がり、自らビバリさんの方へ寄った。 「…そうですね、僕もあの日ビバリさんを見て、毎日が曇りですよ」 「…何故、晴れではないのだ?」 「毎日、ビバリさんを想い、もやもやしたこの感情…晴れる日など来ない…僕の心は、雨か雷ってことです」 「…だったら、晴れさせなきゃだな…ルイを沢山愛せば、その雲は何処へ行く?」 「ビバリさんの…ビバリさんの心にずっとまとわりつく、快晴なんて来ないんですよ」 「…ルイ!」 そっと唇が触れそうになったその瞬間、大島が戻ってきた。俺は焦って自分の定位置へ戻り、ビバリさんはまた訳のわからない言い訳をして席に戻った。 と、その時。 ゴォオーっと、激しく音を立てて雷がどこかに落ちた。大島は慌てて机の下に隠れる。(これは地震の時じゃないか?) 「今のは落ちたな…そうだ!今日は仕事終了!大島君も怖がってるわけだし帰りたまえ!さあ早く!」 「すみません、今日は帰ります!さよなら!」 礼儀正しいお辞儀をした後大島はすぐにここから出てった。好都合とはこのことを言うのだろうか。 「…ルイ、雷が怖いか?」 「そんなことないですよ…それより、さっきの続きをしましょうよ」 上目遣いでビバリさんを見ればすぐに堕ちる、俺が雲でビバリさんが雷のようなこの関係は、オフィスを二人きりで飾った時に生まれる好都合な悪天候。 end. 沢山のしおりやコメントありがとうございます!頑張ります! 昔に書いた小説をば
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