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しかし問題が無いわけではない。
「……デートって何すりゃ良いんだ?」
自慢じゃないが、生まれてこの方、女性と付き合ったことなんざ一度たりとも無い。
正直どうすれば良いのかさっぱりわからない。
……俺は今まで、戦うことしかして来なかった。
大切なものを護るために、失わないために。
ただひたすらに、力だけを求めて生きてきた。
もう、目の前で大切な人達を喪いたくなかったから……。
情けない話だが、そんな生活ばかり送っていた俺は女性の扱いなんかこれっぽっちも知らないのだ。
ましてや、俺と魔理沙は正式に付き合っている訳ではない。
魔理沙が好意を向けてくれているのは分かる。
だが俺自身、その想いにどう応えれば良いのか全く分からない。
そんな中途半端なままで受け入れてしまうのは魔理沙に失礼だし、何より俺が俺を赦せない。
……これを機に、気持ちをハッキリさせるべきかもしれないな。
俺が何を求めて、何を望んでいるのか……。
その【答え】を。
「私は、ソイルと一緒に居られるなら……何でも良いよ?」
俺の決意を知ってか知らずか、魔理沙がそんな風に言ってくれた。
……そんな事言われたら余計に気合い入れなきゃ漢じゃないな。と、意気込んでみたもののどうしたものか……。
「ん……これは?」
ふと玄関を見ると、何やら手紙のようなものが挟まっていた。
俺は手紙を開き読み始める。
『ようソイル、お困りかい?お前さんの事だ、デートで何すりゃ良いかなんて分からないだろうから念のためこの手紙を残しておくぜ。今日の事を話たら、幽香さんが【太陽の畑】を一日貸してくれるそうだ。やったねソイル!!っつーわけで、今日一日戦いを忘れて幽香さんが丹誠込めて作り上げた花園で存分に癒やされやがれwww偶には良いもんだぜ?追伸:花を少しでも傷つけたら殺されるから十分注意しろよwwwそれでは健闘を祈る!! 藤澤賢斗』
……賢斗さん、地味に死亡フラグ建てんなよwww
しかしあの幽香がね……。
真意は分からんが、ここは素直に厚意に甘えさせてもらうとしよう。
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