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「お前、俺が言ってたの、なんか聞こえたか?」
「へ?なんですか?エロい独り言でも言ってたんですか?」
……どうやらバレなかったみたいだ。ほっ。
男はため息をつき、また募金箱に座り直した。
「ふぅ……で、何か?」
タバコに火を点けながら、糸井に尋ねる。
「いや、こんな所でも募金活動してる人いるんだなぁって。」
糸井は人懐こい笑みを浮かべながら、はなしかける。
「実は僕も募金団体の一員なんですよ。いいですよねー募金は。人の為に役立ってるっていうか…」
それを聞き、男は少し顔が強張る。
「へ、へ~…奇遇だね。さてと、俺はそろそろ…」
男が逃げようとしたら、
「え?まだいいじゃないですか~。ね、少しくらい。えっと、あなたはどこの募金団体で?」
その質問に、さらに顔が強張る。
……まさか本職のヤツと会っちまうとわ…。
まぁ、なんとかしのぐしかねぇか。
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