序章

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「また幽霊絡みの相談ですか? まあ、このマンションに住みつく幽霊は、私に言わせりゃ無害だと思いますよ」 「え、そうですか? 私には絶対、無害とは思えません!」  田村さんはいっつも何かも怯えて暮らしている小心者である。  まあ、幽霊騒ぎが度々、起きるし、興味本位でやって来る迷惑なオカルトマニアのせいで、私が住んでいるレムリアハイツというマンションは、別の意味で有名だったりするから仕方がないとは思うけどね。 「あ、田村さんの後ろに誰かいるよ! 半透明で虚ろな表情をした……」 「ひ、ひぃぃ!」 「あはは、冗談、冗談♪」 「うう、そんな冗談はやめてくださいよ!」  う~ん、田村さんは両手を振り上げて怒り出す。  からかいすぎたかな? あはは、悪いことしたかも……。
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