序章

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「知り合いの霊能者をマジで呼んじゃいますよ!」 「う~ん、それは田村さんのご自由に――」  知り合いに霊能者がいるんだ! ――というか、田村さんもそうだけど、幽霊騒ぎが度々、起きる心霊スポットと化しているレムリアハイツだけど、どういうわけか引越しする者が少ないんだよなぁ。  レムリアハイツは同系列の他のマンションを遥かに上回るセキュリティが売り出し文句であり、築十年も経っていない割と新しいマンションなのに、一ヶ月の家賃が格安だ。 確か五万円以下だっかな? とまあ、そんな理由もあるけど、ここには珍妙な住民も数多く住んでいる。 「幽霊の話ですかい?」 「わ、呪宇田さん! いつからそこに!」 「さっきからいたぞ、ず~とね」  丁度いい具合に姿を現したのが、珍妙な住人その一(?)である1505号室の住人、呪宇田(のろうだ)憲司。  さて、この男、呪宇田憲司だけど、数多の心霊スポットおよび恐怖スポットを巡り歩く根っからのオカルティストであるフリーのジャーナリストだ。  私が毎月買っているオカルト系のマイナー雑誌、<恐怖通信>のルポライターでもあるようだ。  ちなみに呪宇田憲司って名前は、あくまで芸名で本名は佐藤弘か佐藤司だったと思う。年齢は三十代前半だったかな?
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