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プロローグ
その日はとても寒く雪がちらつく朝だったのを覚えてる…。
その日両手に握られたあたたかい両親の温もりを覚えてる…。
でも何故か両親の顔が思いだせない…。
「――――――――」
お母さんが何かしゃべっている、でもわからない…。
「――――――――」
お父さんが何かしゃべっている、でもやっぱりわからない…。
頬に何かが落ちた…それは今も降る雪とは比べものにならないぐらいあたたかなしずくだった…。
どうやらそれはお母さんの瞳からこぼれ落ちているようだ…。
気がつくと目の前には古びた建物がたっていた、そして建物には自分と同じぐらいの子供がたくさん遊んでいた…。
「――――――――」
またお父さんが何か言った…、でもわからない…。わからないけど当時の俺は無邪気に笑い子供達の輪の中に入って行った…。
そして気がつけば夜になり…両親の姿は消えていた…。
それは12年前のある冬の出来事だった…。
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