14人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
窓から光が差し込む、その眩しさで俺…伏見裕也はボサボサに乱れた髪をかきながらゆっくり身を起こした。
「ん~~……」
外から鳥の鳴き声がきこえる清々しい朝、でも俺は憂鬱気味だった。
「……久しぶりに見たな。」
頬に手を当ててみる、そこにはひとすじの濡れたあとがあった。
「……やっぱり何年たってもこの夢みると泣くんだな。」
起きたばかりの寝ぼけた頭でそんなことを考える。
昔はよく見た夢だけど、中学になったころからは見る回数も減っていき、今では月に一度見るか見ないかぐらいまで減っていた。
でも、毎回この夢を見て起きた朝は涙を流していた。
「まだ立ち直れてないから、かな。」
俺は苦笑いを浮かべていた。
「……ん?」
ふとあることに気がついた。
「なんか外…やけに静かじゃないか?」
この家は駅に近いので朝のラッシュ時は結構うるさいのだ。
「今日って祝日……なわけないよな。」
よく考えたら時計も鳴っていない、針はいつもように7時をさして……、
「…………あれ??」
8時。
・
・
・
・
・
・
・
「ち、遅刻だ~~~~~!!」
朝のすんだ空気に悲鳴がこだました。
最初のコメントを投稿しよう!