憧れ

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ガャ…ガャ…ガャ… 石作りの街の入り口近くには 街に関する重要な連絡をするための掲示板があり そこにはもうかなりの人だかりが出来ていた 人の中には落胆したり 時折叫び出す者もいた 「ちょ…ごめんよ…通して通して…」 下を這いつくばりながら 人だかりをかき分けて 掲示板の目の前まで来たナガは勢いよく立ち上がった 「あぁん?」 後ろの人が怪訝そうな顔をしたが全然気にする様子もない 「あっ!チックショー!」 掲示板に書かれていた 文章を見てナガは頭を抱えて 絶叫した そこには 『ガーデンへの就職内定者に関する通知』 『本日付をもって下記1名の者がガーデンへの就職が内定したことを通知いたします 内定者 センタ村 キエ地区  アイ・オチ 以上の者は3日後の午前中に村の入り口に集合するように 沢山の方々の受験、ありがとうございました。不採用の皆様にはますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げます』 と書かれていた 「センタ村つったら隣じゃねぇかあそこにそんな優秀な奴がいるなんて聞いたことないぜ…」 しょんぼりしながらナガは人混みを這い出た 落胆の色が隠せないナガに道行く人が声をかける 「おう!ナガ!今年もダメか?」 「あら!ナガちゃんまたダメだったの?残念ねぇ!ほほほほ」 ナガは風のように走り去った 道行く人がかける気休めの言葉はまるで針のむしろの中に居るような気がしたからだ
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