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尖った窓ガラスが、激しく僕の体を傷付けていく。
痛い、痛いよ。
溢れる真っ赤な血を押さえながらもがいている僕の腕には、血がこびりついた腕時計がはめられている。
風圧で僕の座る隣のドアが開く音がした。
確認する間もなく、僕は勢い良く外に投げ出される。
忙しなく変わる景色に心うたれる事はなく、近付いてくる茶色の地面に目を奪われた。
一瞬。
ほんの一瞬だけ、僕の体を激しい痛みが駆け巡る。
体が全く動かない。
目を開ける気力もなく、僕の意識は段々と薄れていく。
地面の冷たさに近付いていく感覚を身に受けている時、僕の耳を膨大な音が通り抜けていった。
それは車が爆発する音だった。
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