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炎は弱まる気配は全然なく、真っ黒に色付いた煙をもくもくと吐き出し、天まで上っていく。
まるで、もう助からないみんなの魂を、あの世へと連れていくかの様に。
煙を追っていく僕の目に、ひしゃげた白いガードレールが小さく映った。
「あそこから落ちたのか……」
一体どうしてこんな事に?
明日は僕の高校の入学式だった。
その記念に、家族でドライブに出たんだ。
ガードレールを突き破る前にしていたみんなの会話、笑い声が頭からはなれない。
お父さん、お母さん……
「僕を一人にしないで……」
俯き加減に目線を下に落とす。
僕の左腕に装着してあるのは、腕時計。
銀色に輝いていたかつての面影はなく、僕のものであろう赤黒い血がべったりとついていて、表面は潰れていた。
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