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竜也は座り込んだままだ。
恐らく悠真は何かに取り付かれてしまったのに違いない。
俺達は、興味本意で霊というのが見たくて、今日ここに集まり本の通りに動いてみた。
それなのに、いざ目の前にしたらどうだ。
俺は腰を抜かして座り込んでしまっているじゃないか。
俺は一体何をしているんだ…
竜也が自問自答をしながら、ふと前を見ると秋奈が手を差し延べている。
「ほら、涼介を助けに行くよ。」
竜也はさっと手を取った。
その時、初めて気づいた。
秋奈の手が震えている。
あぁ…怖いのは俺だけじゃない。
秋奈も恐怖に震えている。
震えながらも、涼介を助けに行こうとしているのだ。
「そうだな、涼介が心配だ。」
そういって、俺は立ち上がった。
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