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「ねー竜也聞いてる?」
俺の肩をポンと叩きながら話しかけてくる女の子がいる。
彼女の名前は、富田秋奈[トミタアキナ]
中学の時から同じだが、ちゃんと話し始めたのは高校に入ってからだ。
同じクラスになったと言うのも一つあるが、高校での顔見知りがいないというのが大きいかもしれない。
「ごめんちょっと話し聞いてなかったわ。」
俺がそういうと、秋奈は「ハァ…」とため息をついた。
そして、黒板に指を指して
「ほら、図書館に移動だよ。もう皆出って言ったよ。」
と声を張り上げて言った。
黒板には《調べ学習のため、今日は図書館で作業です》
と書いてあった。
多分それは、遅刻した奴に図書館での調べ学習を伝えるために書かれたものだろう。
「あー悪い。ちょっとボケーっとしてたわ。」
高校に入れば、きっと楽しいことがいっぱい…そんなことを考えていたものの、いざ入学してみると、これまでと対して変わらず、そんな毎日に少し嫌気がさしてきた。
それで、最近はこの有様である。
俺は重い腰を上げると、シャーペンをズボンのポケットに入れ、秋奈と図書館へと向かった。
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