1人が本棚に入れています
本棚に追加
今日はいつもと違う!
驚いた顔の母に私はそう言い放った。
そう、その日、私は珍しく早起きをした。
いつも遅刻ギリギリの時間に起床する私にとっては奇跡に等しい。
朝からコーヒーを飲んで、今日の天気予報も確認出来た。
今日は一日気温も高く暖かい晴れらしい。
こんなに時間に余裕のある朝はいつぶりだろう?
……ちょっと、思い出せない。
少なくとも高校生になってから何度かあったはず……でも、右手の指の数だけで足りるなぁ。
担任の先生は、私が毎日のごとく遅刻することを半ば諦めているが、単位は大丈夫なのだろうか?
まぁ、いっか。
コーヒーを飲み終え、家を出た。
いつもと比べて、たしかに早いが、コーヒーをゆっくり飲み過ぎたせいなのか、走らないといけないほどではないが、それほど時間に余裕もなくなっていた。
しかし、私がホームルーム前の教室に着いたという時点でみんな驚くだろうな。
みんなの驚いた顔とざわつく教室を想像して、最寄り駅に着いた私は一人でニヤニヤしていた。
ちょうど良くあと数分もしないで到着する『電車』もある。
意気揚々と改札に向かい足を踏み出し、カバンから『定期』を出そうとした次の瞬間。
……あ、『定期券』を家に忘れた。
今から家に戻っても確実に遅刻だなぁ……
あ、そこの公園の『桜』もう咲いたんだ……
綺麗だなぁ
……。
今日はいつもと違う。
言葉の通り、今日はいつもと違った。
今日は学校をサボった。
最初のコメントを投稿しよう!