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「じゃ、行くね?」
「あ…」
軽く呆気にとられていると、黒髪の少女は新騎の横をすり抜け、そのまま走って行ってしまった。
一体何だったんだ?と新騎は眉を歪める。
走って行く黒髪の少女を背中を見ながらはぁ、とため息をついた。
普通ならもっと大変なことになるのだけど、まぁ良かった良かった!と新騎は嬉しそうに立ち上がる。
しかし、そんなに世の中甘くは無かった。
立ち上がる際に、何やらパキッと音がした。
「ん?」
思わず足下に目をやる。
ーーそこには変わり果てた電子レンジの姿があった。
「え、嘘…」
誰が見ても再起不可能の電子レンジ。
誰が見ても廃棄の電子レンジ。
ダラダラと冷や汗が体中から吹き出す。
そして、騒ぎを聞きつけた電気屋の店長らしき人が、新騎にこう言った。
「買い取りな」
ちなみに新騎は今月残り20日を、5000円で過ごさなければならない。
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