逃亡した者

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「う、うう…」 チーの瞳から、今まで溜めてきたモノを全て吐き出すように、涙が溢れた。 「しん、ぱい…したんだから、ね」 「はは…じゃあ心配ついでに…」 グラッと倒れ込むように癖毛の少年はチーにもたれ掛かった。 「へ…え、ええ!?」 「悪いけど、家まで運んでくれるか?疲れと恐怖心で足ガクガクなんだよ…」 ハハッと乾いた笑いを浮かべた。 「…台無しだよ」 涙でクシャクシャの顔を歪めせながら、呆れるようにチーも笑い返した。 「…ん」 ガリルは、顎に鋭い痛みを感じながら目を覚ました。 そして反射的に周りを見渡す。 そこにはもう、癖毛の少年は居ない。 「…ククク」 自分を嘲笑うように、ガリルは笑った。 冷えた地面が、嫌に気持ちよかった。 「…目が覚めた?」 不意に後ろから高い声が聞こえた。 壁に手を付きながら起き上がり、顔だけ後ろに向ける。 そこには短い金髪の女が立っていた。 上下黒のジャージで、右の胸に黄色い星のマーク。 少し小柄な女が、ガリルを見下すように腰に手を当てている。 「…何者だ」 「ふ…あんたと一緒よ。ただの落ちぶれたゴミ人間よ」
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