逃亡した者

56/56
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
今日は休日。 そして時刻は朝の6時。 何故こんなに早く起きてしまったのか。 もう一度寝ようにも、目が冴えて眠れない。 折角の休みなのに、睡眠時間は四時間。 なのに体は寝たくないと言う。 なんという我が儘。 「くっそぉおおおおおおお!」 叫び、新騎は頭を掻きむしった。 眠たいけど眠れないという矛盾だらけの状態に、新騎は凄く腹がたった。 「ううん…」 すると、横から呻くような声が聞こえた。 見ると、髪の長い少女が、気持ち良さそうに寝ていた。 結局、新騎はチーを家にかくまう事にしたのだ。 言うまでもないが、チーは反対していた。 自分が要ることで、また新騎に危険が及んでしまうと。 でも新騎は思う。 それも含めて“助けて”やるんだ、と。 だから新騎は絶対に折れなかった。 そして、先に折れたのが…後は言わなくてもいいだろう。 「…ふっ」 寝ているチーの顔を見て、思わず吹き出すように笑う。 チーの頭を撫でると、また布団に潜り込んだ。 この時、新騎は“久しぶりに”誰かをちゃんと助けれた気がした。 「…やっぱ寝れねぇええええええ!」 だがそんな事関係なく、新騎は寝れなかった。 この後、結局寝れなかったのであった。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!