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白山が癖毛の少年を見つける少し前。
新騎桂太は家で朝御飯を食べていた。
少し焦げたトーストをかじりながら、チーと机を挟んで対面に座っている。
焦げた部分が苦いのか、チーは少し渋い顔をしていた。
「…そーいえばさ、お前の黄泉能力持ってんのか?」
トーストの焦げた部分を上手く避けながら、新騎は言った。
「ん?持ってるよ?」
「あ、やっぱり?」
「大体、桂太をここまで運んだのは誰かな?」
桂太、と呼ばれ、少しむず痒い気持ちになる。
あれから自己紹介をしたが、いきなり呼び捨て。
何だか、喜んでいいのか悪いのか分からない。
「私は『肉体強制強化(ドーピング)』って言うの」
「ど、ドーピング…また凄い名前だな」
「凄いでしょ!」
「…うん。凄い凄い」
胸を張りながら答えるチーに、新騎はお茶を啜りながら素っ気なく答えた。
そして『肉体強制強化(ドーピング)』と言う名前を聞いて、ゾッとした。
あまりチーを怒らせないようにしよう。
「じゃあ、桂太の黄泉能力は?」
「え?俺?」
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