なゆの話

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私は慌ててカレーを食べた。 お腹いっぱいになって,お店を出ると育人が私の手をさりげなく握った。 「俺ん家,来ない?酒でも飲もうよ。」 本当に自分勝手。なのに私は頷いて手を握り返した。 育人の部屋は変わらなかった。 趣味の良い家具。 ギター。 私はここまで付いてきてしまった自分を罵った。 何,言いなりになってんのよ。バカ。アホ。単細胞。 「ビールでいい?」 育人が私の大好きな笑顔を振り撒いて言った。
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