サクの話

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封筒から写真を出してみると,私たちは途端に黙り込んだ。 たった一枚。 でもそれで十分だった。 一人の白人女性が裸でこちらをただ見つめているだけの写真だ。 でもその顔といったら,,,! 白黒だが,後ろから刺す光の加減もまた女の表情を際立たせていて良い。 女性の顔から,きっとこのカメラマンのことを想っているのが伺える。 でも決して手には入らない。 どうしていいか分からないのがこちらにも伝わってくる。 言葉じゃ言い表せない作品だ。 真由は言った。 「まるで私たちが彼女を,こんな風にしてしまったみたい。」 「,,,,この写真家の名前は??」 写真の裏を見ると,英語でクリス・ブロウと書いてあった。 私はさっきの部下に急いで彼に連絡するように言った。 その間,私はクリス・ブロウについて調べていた。
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