一日目②酷薄トロイメライ

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「ぼーやは、何も書かれていない真っ白な壁に落書き禁止って落書きをしそうな人間じゃよな」  ――魔女。 「君は、落書き禁止って落書きされた壁にでさえ価値を見出だせるような魔女だよね」  ――僕。  あの日。  何の前触れも予兆もなく、それでいて予定調和のような当たり前さを証明するかのように、僕は元の世界、つまり新世界(トレイメライ)から旧世界(プロノメイア)へと漂流した。  そして。  "独り"の魔女に、出逢った。  彼女は紛うことなく独りだった。"一人なのに独りだった"。片目の潰れた狐面に真っ赤な彼岸花を従えて。死よりも圧倒的な存在感を撒き散らして、独りだった。  一目惚れだった。  だから―― 「ワシと共に来い。我が騎士よ」  《人間遣い》という希有な《能力》を持つ彼女の手足となることに、一切の躊躇いはなかった。
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