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「用が無くちゃ、二人っきりで散歩したいと思っちゃいけないの?」
きゃろーん。超上目遣い。
「本当は?」
「早くない? もうちょっと信じてくれてもよくなくなくない?」
「どっちだよ、そして誰だよ」
口調って、その人の大切なアイデンティティーだと思うんだ。人格証明。アイデンティティーを失えば、人は人でなくなる。人を人たらしめるのは、他者からの認識であり、他者との相違であるのだから、それらが無ければそれは存在しないも同じだ。
平等は、人の存在を殺す。
「ふむ、まあぶっちゃけ冗談半分じゃ」
「うん」
何が本当の半分でどれが嘘の半分なのか分からなかったけど、よく分からなかったから取り敢えず頷いておいた。
「この辺りは"次元が不安定"じゃから、丁度よかろうと思ってな」
「――うん?」
はて、何に丁度いいのだろうか。今度は頷けなかった。首を傾げる。
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