第一章 プレゼント

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「お疲れ様でーす」 「お疲れーっす」 疲れた疲れたなんて言いながら、アタシ達はレジから控室へと引っ込んだ。 ここはレンタルビデオ店。一応全国チェーンだが、有名なTU○AYAさんとか○EOさんとかではなく。小さな店舗に少人数でほそぼそと営業する・・・まぁ、店長に言わせれば地元密着型志向!のお店。 「おなかすいたー」 「花、そればっかだね。何か食べいく?」 タイムカードを切った途端机にベターっとなるアタシ。 田中 花。小学一年生で習う漢字の羅列がアタシの名前。 22歳フリーター。 ちなみに趣味は睡眠。 好きなものはUFOキャッチャー♪・・・それこそ月に何万も使ってしまうぐらいのバカである(自分で言うの切ないね) あとはまぁ、レンタルビデオ店で働くぐらいだから映画鑑賞も好きだな、うん。 それで、アタシと一緒に上がって、横で笑いながら素敵な提案をしてくれたのが、同い年の望月 奈々子。 アタシと違ってほんわかほんわり女の子らしい、癒し系のかわい子ちゃんだ。 「行く行く!奈々、何食べたい?」 「何がいーかなぁ・・・」 うーん・・・と視線を宙に浮かべて考える奈々の後ろから、カチャリと音がして店長が控室に入って来た。 片手にはダンボール箱・・・ まさか今頃入荷のDVDでも来たのか?と首を傾げるアタシ。 おはよーございますなんて業務的な挨拶を交わして、店長は机にダンボール箱を置いて席についた。 目の前でビリビリと開けられるそれ。 なんとなしに見ると、その箱は本社から送られてきたようだ。
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