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「はい、プレゼント」
「・・・は?」
箱から取り出した手のひらサイズのそれを、アタシと奈々に手渡す店長。
プレゼントって・・・なにこれ。
「ピエロ?」
ソレはチェーンのついたピエロのぬいぐるみ。・・・なぜにピエロ。
わざわざ本社からなんでピエロ。
アタシと奈々はそのピエロ片手に微妙な表情をするしかない。
「カワイイジャン、鞄ニツケナヨ」
こちらも微妙な笑い方をした店長が、ぐいぐいピエロを押しつける。
つーかカタコト怖っ!なに!?新手の嫌がらせ!?
さぁ付けろ、今付けろ!と言わんばかりの店長に流石に引くアタシ達。
「やだよこんなの!アタシのプリチーバッグに相応しくない!!」
「てか、このピエロ気持ち悪いんですけど・・・」
ピエロは、まさにピエロって感じで。
緑のアフロにでかい赤っ鼻。真っ白の顔で、左目には星のペイント。ぶあつい真っ赤な唇。水玉の服にとがったシューズ。
うーん、THE・ピエロ。気持ち悪いまで言わないけど可愛いとも思えない。
嫌ですオーラ全開のアタシ達に、店長は両手を合わせてお願いポーズ。
「嫌なのはわかる!ってか俺も嫌なんだけどっ!でも付けてくんないと困るんだよー!」
「えー?なんで?」
「本社ってか・・・社長命令なんだよね」
「はぁ?」
社長命令?このピエロを鞄に付けるのが??
なに、社長ってばまさかこのピエロ、キャラクターとして売り出す気?
今の口ぶりだと店長もつけなきゃならないみたいだし・・・
社員一同宣伝のお手伝いでもしろってか?
流行ってますよ的に!?ありえなす!!
「しばらくしたら社長も諦めると思うからさぁ、とりあえず付けといてよ。ね?」
「ってか付けてなくてもバレなくない?」
「・・・抜き打ち調査くるらしーよ」
「まじでか!そこまでやるか社長!」
どうやら敵は本気らしい。
アタシは奈々と顔を見合わせ、同時に溜め息を吐いた(ちなみに店長も吐いてた)
しぶしぶ鞄にピエロを付けるアタシ達。ないわぁ・・・
まあしばらくしたら社長もこれはないと気付くだろう。それまでの我慢だ。
アタシ達は他の従業員の鞄に勝手にピエロを付ける店長を背に店を出た。
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