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新しいゲーム A は特にこれといった前評価はなかったのだが、発売間もなくして売り切れ店続出という事態となった その頃の私には情報を収集するといった習慣がなく、Aを知ったのも当然ながら随分と時が経った後だったことを覚えている 元々流行に疎い性質ではあったものの、一度それを知ってしまうと興味を持ってしまう一面も持ち合わせていた為、早速インターネットにて情報を集めようとしていた矢先、職場で妙な話を聞いた 「なめくじになりかけているんですよ」 もう大分前の話で、それを言ったのが男だったか女だったかさえ覚えていないのだが、 B は白衣の胸元を相手に見せつけている 私は何気ない素振りでBを見やると、確かにBの右の鎖骨下、ちょうど掌くらいの大きさの皮膚がぬめりと光り、まさになめくじになりつつあった 「本当だ」 Bの話し相手はそれだけ言うと、まるでそんなことは当たり前だというふうにそれ以上何も話そうとしなかった
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