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二人はあまりにも近しかった。親しかった。
神成三繼期にはなくて、榊終にはあるモノ。それが多すぎて到底叶わない。三繼期の想いは心中で次第に重りへ変わっていき、嫉妬が蝕んでいく。前よりも更に更に深い、憎悪じみたモノへと。
三繼期は歯をギリリと噛みしめ、中庭を後にする。噴水から噴き出す水は、三繼期の心に反し清く透き通っていた。
×××××××
腫れた頬に湿布を当てた終――と訳も分からぬまま連れて来られた羅維納は、医務室の扉を開けて廊下に出る。医務室周辺はいつも静かな所為か、終に問いかける羅維納のか細い声も、心なしか響いているように感じられた。
「終さん、本当に三繼期さんを放っておいていいんですか……?」
「その方がいい」
「でも……少しは三繼期さんの話を聞いてあげてもいいんじゃないですか?」
ふと、終が立ち止まる。羅維納は寸での所でぶつからずに済んだが、自然と身体が後ろに傾いてしまった。
終は羅維納の顔を横目で一瞥すると、脅しでもするような威圧的な口調でこう言った。
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