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『死神は一切の恋愛を禁ずる。相手が同じ死神であろうと、悪魔であろうと、天使であろうと、そして人間であろうとも。』
いつのことだっただろうか。気紛れで手に取った『死神界規則大全集』に、この規則が記されていた。筆者の名前は分からない。年季が入っていて読み取れなかったのだ。紙の色も大分色褪せている。相当前からあったのだろう。
そう――自分が生み出される、ずっとずっと前から。
ある人物は言った。規則は守る為にあると。
ある人物は言った。規則は破る為にあると。
規則は守る。だけど、これだけは守れない。破らざるを得ない。自分の気持ちに正直に生きていたいから。その為には犠牲にすべき何かがあるのだ。それが、これ。
目を背けるかのように素早く書物を閉じて、物思いに耽る。文章を読んでいたたまれなくなったのは、きっと心のどこかで引っかかるモノがあったから。
後ろめたさ、背徳感。罪悪感。そしてそれらに匹敵する――彼女への深い愛情。
神成三繼期は今日も、愛と罪の狭間を彷徨うのだ。
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