SuGaR & sPiCe

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だからこそ、本性とは違う――自分で言うのもおかしいが――軟派な台詞を吐いて、場を明るくしようとした。あわよくば、彼女の笑顔が見られるといいな。そんな期待を抱きながら。 「俺様の名前は神成三繼期! 羅維納ちゃん俺様のタイプだぜっ」 彼女、もとい神楽羅維納は苦笑いを浮かべ、何にも言わずに自分の自己紹介を受け止めたのだった。本当はもっと沢山のアピールをしたかった。でも羅維納の関心は、同じチームメイトでありルームメイトである彼――榊終に奪われていたのだ。 羅維納に一目惚れした自分の最大にして最強のライバル――最も彼自身は全くその気はないのだろうが、三繼期はそう認識している――。何事も初めが肝心。一目惚れというあまりにも不安定な状況に身を置いた三繼期に、彼の存在はとても痛かった。 まだこれといって何も喋っていないのに、死神界へ来たばかりの羅維納の興味を一瞬で奪い去ってしまうような、ミステリアスな雰囲気。黒と茶色のオッドアイ。刺すような冷たい眼差し。全てに於(お)いて……。
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