SuGaR & sPiCe

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だが悔しいことに、それが終の魅力でもある。三繼期自身、終のミステリアスな雰囲気には惹かれる節があったのだから。 整った顔。濁りのない肌。通った鼻筋。薄い唇。所謂美男子と呼ぶに相応しい外見、加えて謎めいた内面。異性の羅維納が引き付けられない訳がない。 あくまで羅維納に友好的に接しようとしない終を、表面上普通に振る舞いながらも、嫉妬をせずにはいられない三繼期だった。 ××××××× 「ハァ……」 らしくもないため息を吐き、三繼期は書物を本棚に戻す。ため息の原因は一つだけ。それは―― 「こんな所にいたのか。お前が図書館で本を読む日が来るとはな」 「……わざわざそんな嫌味言いにここへ来たのかよ、終」 他の何でもない、終だ。いつもと変わらない仏頂面をして、皮肉をぶつけて来る。本当は何もかも全て、お見通しのくせに。 特異な存在として良くも悪くも死神界で名を知られている終。何かトラブルに巻き込まれでもしたら、すぐに噂が広まる。もしも羅維納と親密な関係であると吹聴されたりしたら。
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