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規則大全に記される程の内容ならば、破ると相当な罰が下されるだろう。それは三繼期自身百も承知だ。しかし、それでも。
三繼期は眉を寄せ、悲しげな視線を終に投げ掛けて言う。
「……でも! 死ぬまで抑えたら俺様はどうかしちまう。もしかしたら、羅維納ちゃんを傷つけるようなことをするかもしんねぇんだ……羅維納ちゃんが傷つく可能性があると知っても、お前はそんなことを言うのかよ!? あんまりじゃねぇか……」
「……それはお前がしっかりと抑制すれば済む問題だ。子供じゃあるまいし、守るべき規則を――ッ!?」
言い切る前に、終の右頬が赤く腫れ上がった。感情を爆発させた三繼期が、力任せに殴りかかったのだ。
バランスを崩し、その場に膝を付けた終。殴られても尚、仏頂面を崩すことはなかった。
一方の三繼期は、まるで発作でも起こしたかのように顔を上気させ、肩で深く呼吸をしながら立ち尽くしていた。
そんな中、三繼期にとって最悪とも言えるタイミングで中庭の扉が開く。姿を現したのは、他の誰でもない――
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