第二華

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それから俺たちは土日のたびに合宿所の付近になるこの花のところへ、電車で片道760円で一時間半かけて、二人で様子を見に行くようになった。 始めは単に見たり写真を撮るのみだったが、だんだんと本当に研究っぽいことをするようになった。 まずは、二人で一冊のノートを買い、それに写真を貼ったり様子を書いたりした。次にカウンターってので数を計り始め、それから理科の先生から道具を借り、気温、土の温度、水温、あと水質も測り始めた。 俺は正直この花には興味はあまりなかったが、 ノートを進める度に楽しそうに笑うユキの様子を見たくて毎週毎週通った。 土日以外は教室で、先生のパソコンを使ったりしながらその花について調べたり、ユキと話したりしていた。 あれから1年、5月の唯一の短い楽しみであるゴールデンウイークの最終日を受験生のため模試で潰されたりしながらも、終えた頃。 『ユキはどう思う?』 「ん?、ぁ、ごめんボーっとしてた。なに?」 『またかょ…。だからユキは進路どうすんだ?』 最近ユキは空をみたり、川の流れを見たりしてボーっとしている率が高くなった。 「あぁ…、一応K大かな…」 『K大か…、なら俺もそこにしようかな?』 俺がそう言った瞬間ユキはバッと俺の方をみた、そして怒り気味に強い口調で言った。 「お前N大目指してただろ?、なんで自分の将来に関わんのにそんな適当に変えんだよ!!」 『じょ、冗談だって…。ぁ、そろそろ帰ろうぜ!』 俺たちはそのあと、お互い無言のまま帰って言った。 (今思うと、アイツが怒った理由もよくわかる…)
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