ジャンボ

5/22
前へ
/350ページ
次へ
 おっさんらしい低い声が呼んだ。 「はい」とあからさまに嫌そうな顔を浮かべながら立ち上がる。  答えられるはずがないと、分かっていて、先公が池元に近づく。  そして、先公は頭を定規で軽くこづいた。「わからないのか?」 「わかりません」  池元は凡人だ。こいつが本気を出しても何も出来やしない。  笑った?なぜか池元が白い歯を見せた。 「でも、先生の鼻毛が出ていることは証明出来ます!」  どっかーん! 教室は奴隷から解放された生徒の笑い声が響いた。  確かに出ている、以前からずっと鼻毛が束で出ていた。 「参ったよ」と、両手をあげた、みんなが気付くくらいに。  でも、みんなは池元と先公に注目して誰も気付かない。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加