その少女、

7/7
前へ
/47ページ
次へ
「……天使だ」 思わずつぶやく。 僕の声が聞こえたのだろう、彼女がこちらを見た。 「宮岡サキくん。羽が見えるの?」 耳に馴染む、凛とした声。 ああ、彼女は声までも美しいのか。 「話すのは初めてだね。大谷空さん」 久しぶりに微笑んだ。 高校に入学してから―へたするとあの日から―誰かに笑いかけることなんてなかったのに。 それでも僕は驚かなかった。 彼女のオーラがそうさせているのだとわかっていたからだ。 僕は続ける。 「すごく綺麗な翼だね。」 彼女は一瞬驚いた顔をし、それから笑顔をみせた。 「ありがとう。羽が見える人に出会ったのは初めてよ」
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加