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「……天使だ」
思わずつぶやく。
僕の声が聞こえたのだろう、彼女がこちらを見た。
「宮岡サキくん。羽が見えるの?」
耳に馴染む、凛とした声。
ああ、彼女は声までも美しいのか。
「話すのは初めてだね。大谷空さん」
久しぶりに微笑んだ。
高校に入学してから―へたするとあの日から―誰かに笑いかけることなんてなかったのに。
それでも僕は驚かなかった。
彼女のオーラがそうさせているのだとわかっていたからだ。
僕は続ける。
「すごく綺麗な翼だね。」
彼女は一瞬驚いた顔をし、それから笑顔をみせた。
「ありがとう。羽が見える人に出会ったのは初めてよ」
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