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「で、どうだったんだ?」
「押されぎみだな…。こちらの残存は残り30に対し、相手は残り63…。勝てる見込みは正直薄いだろう…」
「そんな…」
親友の口から発せられた残酷な言葉に俺は打ちひしがれていると、大柄な白人の外人さんが近寄って来た。
「どうした?そんな所で座り込んで…」
「あーいや、コイツ実戦初めてでして…。今の戦況を伝えたら落ち込んじゃったみたいです…」
あまりのショックに立ち直れていない俺に代わり、ヒロが苦笑しながらそう答えると、外人さんもその大きな肩を落とし「そうか…」と苦笑する。
「まぁ実戦が初めてのルーキーならこの戦況は辛いだろうな。だがなルーキー、よく聞け」
「…?」
声に反応し、俺が顔を上げたのを確認すると、外人さんは真剣な顔つきで続ける。
「こんな戦況でも、諦めては駄目だ。どんなに苦しい戦況でも、死に物狂いで頑張れば道は開ける。君らの先人たちは素晴らしい勇気の持ち主だったと聞く。だからミーに見せてくれないか?“大和魂”というものを…」
外人さん…、アンタ良い人だな…。わかった、出来るかどうかはわからないけど、頑張るよ…そう言おうとした瞬間、俺の口はその言葉を紡ぐことは叶わなかった。
目の前で真っ赤な華が咲いたのだ。
赤い、とても赤い、命を糧として咲き誇る真っ赤な華…。
外人さんの胸を…、
一発の銃弾が撃ち抜いていたんだ…。
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