ぷろろーぐ

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「が、外人さん!?」 俺がそう叫ぶのと同時に、外人さんの大きな身体がグラリ…と揺れ、次の瞬間には地に倒れていった。 今動くのは危ないと本能ではわかっていたが、気づくと俺は無我夢中で外人さんに近寄り、その大きな身体を抱きしめながら必死に呼びかけていた。 「外人さん、大丈夫ですかっ!?返事して下さいっ!!」 「ごふっ…。シット…、油断しちまったようだ…。…ぐっ」 俺が呼びかけていると、外人さんは吐血しながらも、なんとか返事をし、自分の不甲斐なさを嘆いていた。 何を言ったら良いんだろうと俺がオロオロしていると、外人さんは凄く痛いだろうに、最後の力を振り絞る様に口を開く。 「ルーキー、いいか…よく…聞け。はぁ…はぁ…俺はここで…ゲーム…オーバーの様だ…ぐっ。」 「しゃ、喋らないで下さい。傷に響きます…!」 あまりの苦しそうな様子に俺が懇願する様に叫ぶが、外人さんは「良いんだ。長くはもたん」と言葉を続ける。 「戦場では一瞬の…油断…が命取り…だ。ミーが良い…反面教師だ…ろう?」 「そんなこと…」 「事実…だ…ぐっ。ルーキー…こんな終わり方の俺…だが…最後に頼みが…ある…ごふっ」 「くっ…。なん…ですか…?」 俺は必死に大丈夫だという言葉を胸の奥に押し込んでそう尋ねる。 本音では「大丈夫、助かります」と声を掛けたかったが、刻一刻と生気が消えていくその表情、冷たくなっていく大きな身体がそれを許さなかったのだ…。
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