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「この…銃を…受け…ぐっ…取れ」
そう言って、外人さんが一挺の銃を差し出す。
「…これは?」
俺が銃を受け取ってそう尋ねると、外人さんは先ほどより一層顔を青くしながらも口を開く。
「ミーの戦友…だ。良かったら…使って…くれ」
「そんな大事なもの…貰えませんよ」
「良いんだ…。受け取って…くれ…がはっ」
「外人さん!?」
「………」
必死に呼びかけるが、返事がない…。
「…逝ったか」
「…あぁ」
後で敵軍を相手にし、俺が外人さんを看取るまで持ち堪えてくれていたらしいヒロが近付き、直ぐに外人さんの死を悟ったのだろう。
ただ一言だけそう確認し、俺もまた短く頷いた。
俺たち二人は少しの間手を合わせ、黙祷を捧げた後、移動を開始する。
いつまでも同じ場所にいると危ないから…な。
しばらく移動を続け、最前線らしき場所からかなり後退した所で俺たちは疲れを癒す為に地面に座り込んだ。
息を整えてしばらくすると、ずっと気になっていたのだろうか、俺が手に持った銃を繁々と眺めていたヒロが口を開く。
「銃…貰ったのか?」
「あぁ、受け取ってくれ…って」
「そっか…」
それから少しの間沈黙が流れるが、ふと俺は外人さんから託された銃の名前も知らないことに気が付いた。
一度気になりだすと、気になって仕方がない俺は、少し迷ったが銃に詳しい我が親友に聞いてみることにした。
「なぁヒロ、この銃の名前ってなんてんだ?」
「あ?カズ…お前知らないで受け取ったのか…」
「…うん」
俺の質問に、ヒロは「仕方ねぇな」とぼやきながらも教えてくれた。
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