騎士隊編

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その少女を遠目に観察していた男がふたり。青銅の鎧をきこんでいる。 王国でその青銅を纏うことが許されるのは、騎士隊のみ。 さきほど入口で誘導をしていた若手のフィリップと同僚のサミュエルだ。 しかしいまのふたりからは、今朝ほどの堂々とした佇まいはない。 「っあー、疲れたっ」 発言どおり、疲労感が表情からうかがえる。 一仕事終えて休憩だと入口の階段に腰を下ろした。 となりで立つサミュエルも、そうだなとつぶやくと横に座った。 あのあと民衆に笑われたフィリップだが、観客は興味をなくし、流れるように客席へ吸い込まれていった。 次の仕事まで時間がある。 門前でだらだらと時間を潰していたふたりは、ニネットの噂について話していた。 「女として初めて受かったってのに、姫様と瓜二つな顔だなんてなぁ」 フィリップは遠目に少女の姿を認めて、ひとり勝手に関心した。
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