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月明かりが降るこの『六ツ首村』の路上で識上は今まで、先程の不良達と喧嘩をしていた。
しかし。
識上龍は、ボサボサな頭、二重の黒い瞳、細い唇。
普通を絵に描いたような少年で、特別、喧嘩が強いだとか、なにか武道を学んでいる身であるとか、そういった特徴を持つ少年ではなく、全てが普通のただの高校生だ。
つまり、殴り合いの喧嘩なら今頃、道端に雑草と一緒に倒れているか、赤い回転灯を頭に乗せた、十字の模様入りのワゴンの中だろう。
だが違う。
この『六ツ首村』というか、この世界の理が根本的に違うのである。
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