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「小羽ちゃーん!」
校門をくぐると同時に聞こえてきた声に俺はまた溜め息が出そうになった。
チッ……またウザい奴が来やがった。
「あ、金里くん、おはよう」
「おはよー、今日も小羽ちゃん可愛すぎやっ……金里なんて他人行儀なこと言わんと一輝って呼んで更に仲良く…」
「黙れ一輝……朝からテメーはそれしか言うことがねぇのか」
小羽を見つけるや否や駆け寄ってきたのは金里 一輝【かねさと いつき】
毎回毎回ことあるごとに小羽に近付いて正直なところウザいんだよな。
「俺と小羽ちゃんの邪魔すんなや壱琉、空気読め」
「邪魔なのはテメーだ、俺の通行の邪魔をするな……行くぞ、小羽」
相手をするのも面倒なので俺は小羽の腕を掴み進んで行く。
「俺の小羽ちゃんが壱琉に拉致られた…!」
「ぷぷっ、良い光景なのです、一輝は今日もアタック失敗なのです!」
「わ、笑うな!」
芙蓉と一輝の話し声が遠ざかった頃にふと我に帰る
「(小羽の腕、掴んだままだ……)」
あの時は無性に苛ついて勢いで小羽の腕を引いて………。
「(俺ってこんなに心が狭い人間だったのか…?)」
と言うよりは嫉妬深いと言った方が良いのか。
………情けないな、俺。
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