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「何故いつも天宮さんばかりが壱琉様の隣……っ!?」
「な、何ですか急に驚いた顔をして……」
「いっ、壱琉様……その手は…」
「は…?」
手……?
そう思いながら先輩の目線を追い漸く理解した。
「(まだ手を離してなかった……)」
先輩に呼ばれてまたタイミングを外してしまった。
俺が小羽の腕を掴んでいるのだが、先輩は何故か再び小羽をキッと睨み付ける。
「天宮さん……貴女一体どう言うおつもり?」
「ど、どう言うつもりって………」
「壱琉様の隣を歩いているだけでも気に食わないのに壱琉様と手を…!」
いやいや、手なんか繋いでねぇし。
どう見たって俺が小羽の腕を掴んでるようにしか見えないだろ。
「深森先輩、これは俺が………」
「分かっていますわ壱琉様、これは天宮さんが壱琉様に頼んだのですね?」
「何でそうなるんですか」
だからこの人は苦手なんだよな……。
一度思い込んだら止まらないと言うか、もう少し冷静になって欲しいものだ。
「はぁ……………」
何かもう、疲れた…。
面倒くさすぎ……。
「壱琉ー!」
「おい壱琉、俺の小羽ちゃん返せや!」
………ややこしい時にややこしい奴等が来やがった。
「何やってるですか壱琉、また邪魔者が現れたですか?」
「毎回のことながら苛つきますわ……葉月さん、私に喧嘩売ってますの…?」
「僕は無駄な争いはしないのですっ、それに先輩の暴力には誰も敵わないのでー」
「は………?」
「てへっ」
芙蓉…お前本当に馬鹿だな……。
本人の前でそれを言うなんてある意味で良い度胸の持ち主だな、うん。
「小羽ちゃん俺と一緒に教室まで行……えっ、ちょ、はよその手離せや!」
「ウゼー…………」
先輩から解放されたと思えば今度は一輝。
静かに登校出来ねぇのかよこいつら…。
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