第一話

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    「何故いつも天宮さんばかりが壱琉様の隣……っ!?」       「な、何ですか急に驚いた顔をして……」       「いっ、壱琉様……その手は…」       「は…?」           手……?   そう思いながら先輩の目線を追い漸く理解した。           「(まだ手を離してなかった……)」           先輩に呼ばれてまたタイミングを外してしまった。   俺が小羽の腕を掴んでいるのだが、先輩は何故か再び小羽をキッと睨み付ける。           「天宮さん……貴女一体どう言うおつもり?」       「ど、どう言うつもりって………」       「壱琉様の隣を歩いているだけでも気に食わないのに壱琉様と手を…!」           いやいや、手なんか繋いでねぇし。   どう見たって俺が小羽の腕を掴んでるようにしか見えないだろ。           「深森先輩、これは俺が………」       「分かっていますわ壱琉様、これは天宮さんが壱琉様に頼んだのですね?」       「何でそうなるんですか」           だからこの人は苦手なんだよな……。   一度思い込んだら止まらないと言うか、もう少し冷静になって欲しいものだ。           「はぁ……………」           何かもう、疲れた…。   面倒くさすぎ……。           「壱琉ー!」       「おい壱琉、俺の小羽ちゃん返せや!」           ………ややこしい時にややこしい奴等が来やがった。           「何やってるですか壱琉、また邪魔者が現れたですか?」       「毎回のことながら苛つきますわ……葉月さん、私に喧嘩売ってますの…?」       「僕は無駄な争いはしないのですっ、それに先輩の暴力には誰も敵わないのでー」       「は………?」       「てへっ」           芙蓉…お前本当に馬鹿だな……。   本人の前でそれを言うなんてある意味で良い度胸の持ち主だな、うん。           「小羽ちゃん俺と一緒に教室まで行……えっ、ちょ、はよその手離せや!」       「ウゼー…………」           先輩から解放されたと思えば今度は一輝。   静かに登校出来ねぇのかよこいつら…。          
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