第一話

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    は…………?           「今、何て言った?」       「えっ?だからふーやんが迎えに来てるって………イッチーもしかして耳腐った?」       「腐ってんのはテメーの脳ミソだろ………」           普通耳が腐ったとか言うか?   しかも実の弟に。   その前に誰か来たなら来たって早く言えっての。           「はぁ…………」       「なーに溜め息ついてんだよ、幸せ逃げるぞ」       「誰のせいだと思ってんだよ………もう良い、俺は後で行くからあの馬鹿は追い返してくれ」       「良いの?せっかく迎えに来てくれたのに」       「良いんだよ」           あいつと朝から一緒だと無駄に疲れる…。   テンション高いし一人で突っ走るし、何より面倒だ。           「ふぅん………そっかそっか…」       「………んだよ、ニヤニヤしやがって」       「別にー?あーあ、イッチーは一緒に行かないのか……せっかく小羽ちゃんも来てくれたのに」           …………小羽も…?           「イッチーのこと待ってくれてるけどそっか、じゃあふーやんと小羽ちゃんに断……」       「………待て」           あいつはともかく、小羽が一緒なら話は別だ。           「今すぐ着替えて準備する…」       「うんうん、イッチーならそう言うと思ったよ」       「チッ…………」           兄貴に遊ばれたのは癪だが小羽を待たせる訳にはいかない。   あいつ一人だったら二度寝する予定だったが。   俺は着替えを済ませて鞄を持ち、あいつと小羽の待つ玄関へと向かった。              
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