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っ、この馬鹿……!
「何が名探偵だ、寝言は寝て言え」
俺は芙蓉がその続きを言う前に制し取り敢えず殴った。
痛がってようが俺には関係ない、殴られるようなことを言うあの馬鹿が悪い。
「ななっ、何で殴るですか!?」
「ムカついたから」
「酷いのです、横暴なのです…!」
余程痛かったのか目に涙を溜めて俺を睨み付けている。
そんな俺と芙蓉を見ていた小羽が喧嘩と思いあたふたしながらも止めに入って来た。
「だ、駄目だよ壱琉くん…!」
「駄目って……俺は別に喧嘩なんてしてねぇ」
「もう…壱琉くんいつもそればっかり」
拗ねたようにむっと頬を膨らませる小羽に思わず顔が赤くなる。
……可愛すぎだろ、それ。
「っ、もう良い……行くぞ、小羽」
「あ、待って壱琉くん…!」
「何二人で先に行ってるですか、僕を置いて行くなです!」
いつの間にか復活した芙蓉が俺と小羽の後ろを追う。
「お前ら、気を付けて行けよー!」
「分かってるから叫ぶな」
「行ってきます、琉綺さん」
「壱琉のことは相棒のこの僕に任せろですー!」
こんな家の近くで叫ぶなよ……。
若干の恥ずかしさを残しつつ俺達は兄貴に見送られながら歩いて行った。
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