第一話

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    「それにしても、壱琉はいつもギリギリですねー」       「……何がだよ」       「登校時間ですよ!こうして僕が迎えに来ないといつも遅刻ギリギリじゃないですか」       「間に合ってんだから別に良いだろ……」       「良くないのです、今日だって壱琉は僕が来たのにまだ寝ていたのですよっ」       「起きてたっての……丁度目覚まし時計もなってたし」           そう俺が答えた瞬間、芙蓉と小羽がポカンとした顔になった。   俺………変なこと言ったか?           「あの時間に目覚ましをセットするなんて流石は壱琉ですー……」       「だから壱琉くん、いつもギリギリだったんだね」       「別に間に合ってるんだから良いだろ、俺には睡眠の方が大切なんだよ」       「駄目ですよ壱琉っ、こうなったら僕が毎日迎えに行ってやるのです!」       「んなもん必要ねぇ」           芙蓉が毎日迎えに来るなんて罰ゲームに近い嫌がらせだ。           「はぁ…………」       「何溜め息なんかついてるですか、幸せが逃げるですよ」           ……まさかこの馬鹿にまで兄貴と同じことを言われるとは。   俺はもう一度深く溜め息をつきながら校門をくぐった。          
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