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「それにしても、壱琉はいつもギリギリですねー」
「……何がだよ」
「登校時間ですよ!こうして僕が迎えに来ないといつも遅刻ギリギリじゃないですか」
「間に合ってんだから別に良いだろ……」
「良くないのです、今日だって壱琉は僕が来たのにまだ寝ていたのですよっ」
「起きてたっての……丁度目覚まし時計もなってたし」
そう俺が答えた瞬間、芙蓉と小羽がポカンとした顔になった。
俺………変なこと言ったか?
「あの時間に目覚ましをセットするなんて流石は壱琉ですー……」
「だから壱琉くん、いつもギリギリだったんだね」
「別に間に合ってるんだから良いだろ、俺には睡眠の方が大切なんだよ」
「駄目ですよ壱琉っ、こうなったら僕が毎日迎えに行ってやるのです!」
「んなもん必要ねぇ」
芙蓉が毎日迎えに来るなんて罰ゲームに近い嫌がらせだ。
「はぁ…………」
「何溜め息なんかついてるですか、幸せが逃げるですよ」
……まさかこの馬鹿にまで兄貴と同じことを言われるとは。
俺はもう一度深く溜め息をつきながら校門をくぐった。
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