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ザザッー。
暫く歩くと、波の音が聞こえてきた。
少し向こうには、明かりが見える。
「す、すげえ」
森を抜けると、広大な海があった。
砂浜も海も眩しいほどにキラキラと光っている。
有栖の住む町は陸地に囲まれていているので、海がなく海を見るのは初めてだった。
親は仕事が忙しく、家には殆どいない。
その事もあって、海に連れて行ってもらった事がない。
その為、海を見た感動は大きい。
しかし、有栖でなくてもこの海に感動するだろう。
その海はまるで生きている様に波打っている。
白い砂浜は歩く度、キュッと鳴く。
ただの海や砂浜ではなく、生き物そのものだった。
有栖が感嘆するのも頷ける。
暫く砂浜を歩いていると陽気な声が聞こえてきた。
『さぁ皆、私が乗り超えたの冒険数々を話そう』
「なんだ? あの鳥みたいなやつは」
「まずはこの私、ドードーが船長をしていた船の航海の話しを……」
雄弁に語る鳥の周りには、動物達が拍手をしている。
有栖はその群集に近づいた。
「私が航海の途中、ある乗組員が私をよんだ」
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