第壱怪『トイレの花子さん』Ⅰ

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「まぁ、仕方ないか。信じてくれないなら証拠を見せてあげるよ」 そう言って『花子さん』はパチン、と指をならした。 俺がやっても中二病にしか見えないそれは、その子がやると妙に様になっていた。 すると、俺の体が宙に浮いた。まるで無重力状態になったように。 「なっ、なっ!? なぁっ!?」 状況が飲み込めず、口から上手く言葉が出てこない。 『花子さん』は宙に浮かぶ俺を見上げながら、笑みを浮かべている。そしてもう一度、指をならした。 がた、と物が動く音がした。そして、それは部屋の中で次々と伝染していく。遂には、部屋にある全ての家具が、がたがたと地震が来た時のように揺れ始めた。 『ポルターガイスト』。 今、起きている出来事はまさにそれだった。
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