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「分かった! 信じるから! 頼むからもうやめてくれ!!」
俺がそう言うと、『花子さん』は満足げに微笑み、指を鳴らした。
「うごっ!」
すると俺を浮かばせていた見えない力が消え、俺は床に叩きつけられた。揺れていた家具も、今は何事もなかったかのように静止している。
『花子さん』は両手を胸の前で斜めに合わせ、微笑を浮かべながら、俺の方を見た。
「さて、僕が人ならざる者であると理解してもらったところで、今度は君の名前を教えてくれるかい?」
「俺は……苗木。苗木 達也だ。近所の大学に通ってる」
乱れた服装を整えながら質問に答えてやる。そして今度はこちらから問いを投げかけた。
「で、かの有名な『トイレの花子さん』が、ごく普通の大学生の俺に何の用だ?」
乱暴に叩きつけられた苛立ちで言葉使いが荒くなる。だが『花子さん』は余裕の表情を浮かべていた。
「馬鹿を言ってはいけないよ。君が普通? 苗木君、君には霊感があるだろう。しかもとても強力なものが、ね」
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