第壱怪『トイレの花子さん』Ⅰ

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そう……。確かに『花子さん』の言う通り、俺には黒崎ストロベリーさんばりの霊感がある。 「だけど……それが何だって言うんだ?」 「それが“僕達”の頼みごとと大いに関係があるのさ。そうだね……色々と話しておかなければならない事があるんだけど……」 そう言って形の良い顎に細い指を這わせる。そして唐突にこんなことを聞いてきた。 「君は……“僕達”の存在はどうやって生まれると思う?」 存在? 怪談自体ではなくて? 疑問符に埋め尽くされた俺の顔を見て、最初から答えを期待していたわけではないのだろう、『花子さん』は自ら語りだした。 「怪談はある日突然生まれる。それは見間違いであったり、実際に霊を見たり……。きっかけは様々だ。だが、その時点ではまだ僕らは存在していない」 『花子さん』は俺の方を真っ直ぐに見て語る。顔には何の表情も浮かべていない。
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