第壱怪『トイレの花子さん』Ⅰ

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「それらは君達の間で語られる。こんな噂を聞いたことがあるかい、ってね。そして君達は『存在しない存在』を信じるようになる。 噂が広まれば広まるほど『いる』もしくは『いるんじゃないか』という信じる“想い”は大きくなり、やがてそれは『存在しない存在』に形を与える。 そうして生まれたのが“僕達”さ。“僕達”は君達の想いから生まれたんだよ」 「抽象的で分かりづらいが……つまり、怪談が語られることによってお前らが生まれるってことか?」 「そうだね。そして怪談が語られなくなった時、“僕達”は死ぬ。まあ、そうならないために時折姿を見せるんだけど」 その時は霊感がなくても見えるってことか……。 あれ? だったら……。 「普段から姿を見せていれば良くないか?」 途端、『花子さん』は両手を腰にあて首を少し傾けて、心底呆れたような表情をする。君は馬鹿じゃないか? とでも言いたげだ。
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