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「けれど問題が発生した。それは『噂』になってしまっているんだ」
そこで俺はハッとした。
「皆がその噂を信じることで存在が生まれてしまう……?」
「そう、そういう事なんだ。本当は僕ぐらい全国区で有名じゃないと、存在は生まれないんだけどね。
今回は違う。媒体、つまり被害者の霊がいることによって、存在が生まれやすくなっているんだ」
「嘘から出た誠になっちまうって訳か……」
「僕は霊がどうなろうが、どうでもいいんだけどね。だけど僕も一応本家だ。みすみす席を譲る気は無い」
段々、コイツの言いたいことが分かってきた。
つまり、コイツの頼みごとってのは……
「俺にその霊を成仏させろってか?」
「話が早くて助かるね。そうだよ。僕らよりも生身の人間の方が色々と動きやすいからね。だから、霊感のある人間を探していたんだ」
ようやく話の全貌が理解できた。確かに黒崎ストロベリーさんばりの霊感がある俺なら、霊も見えるし、力になれるだろう。
だけど、俺は黒崎ストロベリーさんほど優しくはない。
「だが、そんな面倒ごとはごめんだ。結局、困るのはお前らだけだろう? 俺は、とばっちりを受けただけじゃないか。それに俺はお前が犯人じゃないとはまだ完全には思ってないからな」
とは言ってもコレは単なる口実だ。内心では、不思議と花子は犯人ではないと思えている。
助けるかどうかは話が別だが。
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