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「苗木君は哀れな少女の霊を見捨てるのかい? 薄情だなぁ」
ぐっ、痛いとこ突いてきやがった……! つうか、どうでもいいとまで言っておきながら、出汁にしてるお前は非情だよ!
「しょうがない、苗木君が断るというなら……」
「こ、断るというなら?」
「君を呪い殺すことにするよ」
そして花子は、にこりと笑みを浮かべた。
目が笑ってねぇ……! コイツ本気だぞ……!
全身を強張らせている俺を見て、花子は満足げにしていた。
「まあ苗木君をからかうのはこの辺にしといて。うーん、どうしようかなぁ」
絶対に嘘だ。あの目は本気の殺意が宿っていた。
しかし、条件を変えてくれるようだ。いくらなんでも命より重い代償は無いだろう。俺はちょっとだけ安堵した。
「十五万」
「十五万!?」
おそらくは金だろう。それにしてもやたら現実的な数値だな……。だが……。
「が、学生の俺が急に払えるわけないだろう!?」
「へぇ、君のせいで僕のパソコンは壊れてしまったんだけどねぇ?」
パソコン? ああ、コイツが昨日トイレで持ってたやつか!
「パソコン自体の値段に加え、普通の人間には見えないようにしたり、屋外でもネットにつなげるようにする魔改造の手間。その他諸々を考えての妥当な金額だけどね。
君は他人のものを壊して、素知らぬフリをするのかい?」
ここまで言われてしまったら仕方がない……。
「分かった、分かったよ……。お前に協力すれば良いんだろう……」
コイツには勝てそうもない。
俺が敗北感にうちひしがれている一方、花子は年相応の少女のように笑っていた。
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